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クリニック開業時の採用面接
~オープニングスタッフ募集の視点~

クリニック開業前の最大のイベントの一つに「オープニングスタッフの採用」があります。

「医療は人」なので、採用するスタッフによってクリニックの雰囲気やサービス提供の質は大きく変わってきます。

ここでは、採用面接の際のポイントについて解説します。

なお、オープニングスタッフをどのような媒体で募集するかについては「クリニック開業とオープニングスタッフ ~どのような媒体で募集をするか~」をご確認ください。

 

人間性は見抜けない

採用面接を行う一番の理由は「このクリニックで働く上での適性があるか」を判断することです。

そのためのベーシックな要素として「人間性の理解」に面接の力点を置くのはもっともな考え方です。

実際、採用関連の他サイトでも「採用面接の目的は人物像を見抜くこと」と、人間性判断を重視した内容のものが少なくありません。

しかしながら、経験上申し上げると、採用面接で人間性を見抜くことは難しいです。

もちろん、ある程度は推測できますし分かりやすい性格の方もおります。

一方、採用後に「こんな人だと思わなかった」という一面が明らかになるケースもとても多いです。

以前の職場でこんな事例がありました。

常勤の医療事務職員を募集するにあたり、役員である精神科医師が面接に同席しました。

そして、その医師が30分程度質問を行い、求職者が帰った後に一言「う~ん・・。分からん!」とおっしゃっていました。

この時改めて「採用面接という短い時間・特異な環境下で人間性を見抜くのは難しいのだな」と感じました。

いずれにせよ、当事務所としては以下の理由から「人間性は見抜けない」という前提で採用面接を行う方がメリットが大きいと考えております。

 

1.求職者は準備をしてくる

看護師などは採用面接の準備を何もしてこないケースもありますが、基本的に求職者は聞かれそうなことへの対応を予め考えて面接当日に臨みます。

例えば短期間で離職した職場がある場合、質問されることは想定できるので予めもっともな理由を準備してきます。

出産・子育て・配偶者の転勤など、もっともな理由はいくらでも作ることができます。

更に、聞かれて困ることのある求職者の方が回答を準備してきますので、結果として各求職者の差が分かりにくくなります。

 

2.求職者が職場で人間性を表出させるかどうかは分からない

本来はコミュニケーションをとるのが苦手でも、職場では仕事と割り切ってうまく来院者と接する人もいます。

逆に、週末は本来の人間性を発揮して明るく楽しく過ごす方が、勤務中は言葉を発しないということもあります。

人間性はその人を評価する上でのベースにはなりますが、ベースの上に「仕事への接し方」というものもあります。

そして、「仕事への接し方」は働いてみてもらわなければ分からない部分が多いです。

入職後、明らかに問題がある職員に対しては、入職後の対応を適切に行うことの方が重要です。

 

3.判断が鈍る

分からないものを理解しようとすると、結局誰を選んでよいのか分からなくなります。

人間性は「ある程度理解できたらラッキー」程度にとどめ、後述する客観的に測定可能な要素を評価する方が合理的です。

評価の視点4つ

人間性ではなく何をもとに評価するかについて、概ね以下の4点を評価すればよいと考えます。

 

1.経験ではなく実績

開業する診療科の経験がある看護師と医療事務職員を最低1名は確保したいので、「経験者=採用」となりがちです。

ただ、経験というのは評価が難しく、極端な話、その組織に所属しているだけで何もしていなくとも履歴書上では立派な経験となります。

単に以前に大きな病院で勤務していた、などの経験で評価するのではなく「そこで何をしていたか」に焦点を当てましょう。

 

2.接遇

受け答えの印象が来院者に好印象を与えそうどうかを評価しましょう。

これを「人間性」と捉える場合もあるのかも知れませんが、あくまで面接という環境できちんとした対応をできるかどうかを確認すればよいです。

なお、医療機関で来院患者アンケートなどを取った大まかな印象として、患者が求める接遇の8割方は医師です。

患者は受診しに来ている訳なので、職員の接遇が良くとも医師の接遇が悪いと他院に流出します。

自由診療中心で患者自己負担が大きい場合にはスタッフの接遇に求められるレベルも上がりますが、一般的な保険診療のスタッフであれば接遇が一番重要ということにはならない印象です。

ちなみに、接遇にも色々あります。

経営者が「一流ホテルのような雰囲気」を目指すのであれば、採用面接における接遇面での評価ウェイトも上がりますし、入職後の教育にも力を割かなければなりません。

一方、私が地方の病院で医療事務職員を管理している時のコンセプトは「駄菓子屋のような接遇」でした。

すなわち、敬語などの礼儀作法はそこまで重視しないものの、来院者と気さくに会話するような接遇のスタイルです。

とにかく、自身のコンセプトを確認したうえで接遇に求める水準を決めていきましょう。

 

3.仕事の「捌き(さばき)」

テキパキと仕事をしてくれるかという要素です。

クリニックは少ない人数で仕事を回さなくてはならないため、この要素は非常に重要です。

これもあくまで印象ですが、1人の同じ給料の職員でも1.5倍~2倍程度の業務量の差は普通に生じます。

失敗事例で良くありがちな「経験はある筈なのに仕事できない職員」や「愛想は良いけど仕事遅すぎる職員」などはクリニック経営(=経営者の所得)に直結します。

働いてもらわないと分からない面もありますが、「仕事捌きを重視して仕事をする人か」を評価しましょう。

 

4.求める勤務条件

クリニックの場合、求職者の多くは女性であり、「家事との両立」という課題を抱えています。

希望する勤務時間や勤務日数などは必ず確認しましょう。

実際には「面接の際に確認した時よりも家庭の都合で休みや早退が多い」といったことも少なくありません。

求職者は面接に合格したいので、楽観的な予測に基づいて勤務可能時間などを回答するからです。

これらの状況を避けるため、本来は面接で聞くべきではない事項とされておりますが、面接を通じて実際に勤務できそうな時間・日数を明確にできるようにしましょう。

視点ごとの評価項目

前述した視点ごとに、どのように評価したらよいかを以下に記します。

 

1.実績

履歴書の経験をもとに、その職場で具体的にどのような仕事をしていたかを質問しましょう。

看護師の場合、持っていてもらわなければならない手技のスキルなどがあれば当該スキルの有無を確認しましょう。

医療事務の場合、そこそこの規模の病院でもレセプト業務はほぼ1人で行っております。

よって、「レセプト業務を1人で完結できるか」を聞くと、必要なスキルを確認でき、さらに以前の職場での位置づけも把握できます。

ちなみに、当事務所が採用面接に同席する場合は「前職で行っていたレセプト業務の流れ」を聞くことで、後述する「仕事の捌き」についても評価をします。

 

2.接遇

面接全般の受け答えである程度推測すれば良いです。

求職者側も準備をして臨みますので、質問に対する回答内容より雰囲気全体を評価するよう努めます。

その上で、比較的差が出るのは「ネガティブな質問への回答」なので、以下のような質問を織り込み、求職者がネガティブな事象にどのように対処してきたかを確認できると良いです。

 

〇ご自身の長所と短所を簡単に教えてください。(回答後)短所について、具体的にどのような場合に困りますか?その状況にどう対応しましたか?

〇以前の職場でご自身が経験したインシデントにどのようなものがありますか。

〇あなたは他の人からどのような人だと思われていると思いますか。良い面と悪い面をそれぞれ教えてください。

 

ただし、これらばかり聞いてしまうと圧迫面接のようになりがちなので、一般的な質問の間に1~2個混ぜるようにしましょう。

 

3.仕事捌き

質問をしてもあまり意味がないので、実際の作業やテストを実施してもらうと良いです。

採用面接用のテストは色々なものが出回っているので、これらのうちいずれかを活用しても良いです。

が、「内田クレペリン検査」のように、制限時間で目一杯作業をしてもらうような試験の方が、比較的仕事捌きを評価しやすいです。

また、仕事捌きの重要な要素として「パソコンへの習熟度」があります。

よって、例えばA4で1枚程度の簡単な文書や図表を用意し、パソコンを貸与して「制限時間内にこれと同じものを作成してください」というような試験も有効です。

 

4.求める勤務条件

まずはこちらから求める勤務条件と報酬面を説明します。

次に、求職者側の希望について聴取します。

このあと、「可能な範囲で結構なのでお答えください」等の前置きをした上で、こちらが期待する時間・日数で勤務する上での懸念事項がないかの理解に努めます。

具体的には、

〇子供の人数、年齢

〇家族の子育てに対するサポート体制

などが聞けると良いのですが、これらは「本人に責任のない事項」であり、面接で尋ねて把握する事は就職差別につながる恐れがあるとされております。

参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」

聴取にあたっては十分に求職者に配慮しましょう。

採用面接前後の注意事項

最後に、上述した以外の一般的な注意事項について確認します。

 

1.「クリニック側も評価される場である」事を理解して臨む

求職者の中には複数のクリニックで採用面接を受けている人もいます。

採用したいと思う求職者ほど、求職者側でいくつかのクリニックを選べる状況になりやすいです。

こちらが選ぶだけでなく、求職者にも選んでもらえるよう、会話の内容や接し方については十分に配慮しましょう。

なお、求職者はその「地域の住民=将来の患者候補」である場合も多いです。

言い方を変えると、採用面接は「クリニックオープンを地域住民に宣伝する機会」でもありますので、良い雰囲気を作り有意義な時間となるようにしましょう。

 

2.合否の連絡はすぐにする

複数応募している求職者の場合、先に合格が決まったクリニック(又は一般企業)に就職を決めてしまう事があります。

求職者に「あなたのことを必要としている」とアピールするためにも、できれば採用面接の翌日頃までに採用の連絡をすると良いです。

筆記テストの結果が出るのに数日必要などの理由がある場合には、結果が決まる時期(〇日後、など)を必ず伝えておくようにしましょう。

一方、不採用の場合の連絡時期と流れも採用面接の際に伝えておきましょう。

履歴書を返送し、そこに不採用通知を添付するといった対応が一般的ではないかと思います。

求職者が次の活動に進みやすいよう、簡単で良いので何らかの返事をしてあげる方が良いと思います。

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