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医療業界におけるマイナンバーカードの推進について
~医療専門税理士の視点~

この記事を執筆している2022年10月現在、「マイナンバーカードによるオンライン資格確認」「(現行の)保険証廃止」など、マイナンバーカードを活用したIT化、効率化に関する話題が多く出ております。

これに対する国民や医療機関側の反響は色々あるかと思いますが、一番大事なのは「保険情報をマイナンバーカードに集約すると本当に便利になるのか、効率よくなるのか?」という点ではないでしょうか?

今回、医療機関の税務や経営には直接関係しませんが、マイナンバーカード導入の是非について私見を述べてみたいと思います。

医療業界におけるマイナンバーカードの推進について

ポイントは2点に集約される

一国民としての目線、そして医療専門税理士として医療機関側の目線から「マイナンバーカードによるIT化」で便利になる・効率が良くなるポイントは以下の2点(どちらの目線でも共通)に集約されると考えます。

 

1.全ての保険情報を集約できるか

 

2.ユーザーから見てワンストップで必要な処理が実施できるか

 

これらについて解説を試みます。

全ての保険情報を集約できるか

健康保険証というと、一般的には会社員などの「社会保険(被用者保険)」、自営業者などの「国民健康保険」と「後期高齢者医療制度」になります。

しかしながら、医療機関を受診するにあたっては、上記保険証の他に「公費制度(こどもの医療費など)」や「生活保護医療券」など色々な制度が存在します。

 

(1)国民目線では

公費制度などの適用を受けている方からすると、本来の保険証と適用を受けている公費制度等の全てを合わせて「保険情報」となります。

これらの方については、保険情報の一部がマイナンバーカードに置き換わるだけだと利便性が向上したと実感しにくいと思われます。

 

(2)医療機関目線では

保険情報をスキャナーで読み取り自動入力する仕組みは既に存在します(コスト面の理由で未導入の施設もあります)。

よって、スキャナーで読み取っていた保険情報の一部がオンライン化されても利便性向上は期待しにくいです。

また、医療機関にとって手間なのは、公費を持っている患者さんの保険情報入力です。これは、適用されている制度ごとに記号と番号を登録する必要があるためです。

 

よって、「全ての保険情報を集約」することにより、国民目線でも医療機関目線でもメリットが大きくなると考えます。

ユーザーから見て必要な処理がワンストップで実施できるか

現状、健康保険証や公費制度については、それぞれの担当窓口で個別に申請を行う必要があります(会社員の場合は所属する会社がやってくれているので手間は感じないかもしれませんが)。

また、医療機関側も「レセプト」処理を通じて、各保険者や公費の窓口(国や地方公共団体)に個別に診療報酬の請求を行っている状況です*。

*請求先は、各都道府県の国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金の2か所にまとめて提出しますが、提出する情報には保険者ごと公費ごとの請求情報が記載されます。窓口は集約されているものの計算は個別です。

 

(1)国民目線では

マイナンバーカードに保険情報が集約されるのは大前提ですが、集約されたとしても更新時にはそれぞれ担当窓口に個別にマイナンバーカードを持っていく・・というのは仕組みとして非常に残念なもののように感じます。

マイナンバーカードと紐づいた個人ごとのポータルサイトのようなものが作られ、ポータルサイト上で全ての保険情報の閲覧や申請・更新ができるような仕組みを作れると利便性が向上するのではないでしょうか。

(イメージとしては、Amazonや楽天などのように、ログインすると色々な加盟店の商品をワンストップで購入できるようなサイト)

 

(2)医療機関目線では

マイナンバーカードに全ての保険情報が紐づいたとすると、オンライン上で資格情報を確認する際のハードルが高くなるように思います(通信速度やエラーの頻度などが高くなることが想像される)。

折角マイナンバーカードで新しい仕組みを作るのであれば、診療報酬請求の仕組みそのものを変えたらよいのではないかと思います。

 

例えば、

【現行】

①患者が窓口で保険証を提示し診察を受ける

②医療機関で保険証情報を確認・レセコンに入力し、窓口負担額を計算し徴収する

③1月分を個人ごと、入院外来ごと、請求先(保険者)ごとにまとめて計算し請求する(いわゆるレセプト業務)

④保険者から医療機関に診療報酬が入金される

 

【改定案】

①患者が窓口でマイナンバーカードを提示し診察を受ける

②医療機関は負担割合情報のみオンライン確認し、窓口負担額を計算し徴収する。←新たなルール作りが必要ですが、保険証情報を全てオンライン確認するよりエラーが減り、医療機関にとっても楽になるのではないでしょうか?

③1月分をマイナンバーごとに請求する(レセプト業務の保険情報にはマイナンバー情報のみ記載される)←医療機関の保険情報入力・確認の手間と不備で返戻となる手間が減ります。社保か国保のどちらかにまとめて請求するイメージです。

④保険者から医療機関に診療報酬が入金される

⑤保険者から患者に精算額が通知され実際の負担額との差額が徴収(返還)される←これを口実に口座情報との紐づけも必須となり、国にとっても都合が良いのではないでしょうか?

 

という形で、医療機関にとってもメリットのある業務フローにしていただけるよう望みます。

まとめ

この記事を書こうと思ったきっかけは、現状反対意見も多い「マイナ保険証」について、デジタル庁がHP上で意見を募るという記事を見たことです。

 

2022年10月15日掲載のYahooニュース記事

 

医療業界人の端くれとして、どうなったら国民にとって、そして医療機関にとってメリットが出るのだろうか・・と考え、結果を今回記事にしました。

上記にポイント2点を記載しましたが、その上位にある課題は「保険制度が複雑すぎる」ことだと思います。

税務の世界でもそうですが、複雑→個々人の事情にきめ細やかに対応→公平性があって良い、という価値観が制度を作る側にはあるようです。

ただ、複雑だと分かりにくいですし、何より業務が煩雑になり生産性が悪化します。

難しい面もあるかと思いますが、この価値観自体も変えていくべきだと思います。

少なくとも、煩雑さを国民や医療機関に負担させるのは止めて欲しいという願いを本記事に込めつつ、今後の動向に期待したいと思います。

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