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クリニックを開業して軌道に乗ると、次の選択肢は「医療法人になるかどうか、なるとしたらいつなるか」となります。
色々なサイトでメリット・デメリットが詳細に比較されてはおりますが、医療専門税理士の視点から論点を整理しました。
他のサイトとは違った視点で情報収集をされている方は是非ご一読ください。
メリット・デメリットを色々並べられても理解が進まず、「医療法人化って結局のところは何なのよ!」と思っていらっしゃる方もいるかも知れません。
私自身が上記の質問を受けた場合には、以下のように回答しております。
「医療法人は法律上の「人」です。よって、医療法人化とは自分の他にもう一人「人」を増やすことです。」
人が増えるので、例えば所得が分散されて節税につながります。
半面、人が増える分手間もかかります。
上記の表現で、まずは「医療法人化の抽象的なイメージ」を理解すれば、個別のメリット・デメリットも理解が進むかと思います。
これらを踏まえ、次に論点を3つに絞って医療法人化の是非について論じてみたいと思います。
お金については、医療法人化により以下のようなメリット・デメリットが生じます。
(1)経営者である先生にとってのメリット
先生の収入は役員報酬(給与)となるので、金額が明確なので生活費などの配分がしやすくなります。
また、給与所得控除を活用できるのも個人診療所と比較した場合のメリットです。
法人税は所得が上がっても税率が基本的には一定です。
よって、法人に利益を貯めていき、リタイアする際に退職金(給与と比較して税率がとても低い)として支払いを受けるというのが一般的な手法となります。
個人診療所には退職金という概念自体が無く、共済や生命保険などを用いて自ら老後の備えをしなければなりません。
ライフプランニングの観点からも医療法人化はメリットが大きいと言えそうです。
家族についても、個人診療所では「青色専従者」という仕組みで給料を支払えますが、法人になると「役員給与」という形でもう少し経費化しやすくなります。
所得の分配という観点でも法人の方が有利に働きます。
(2)経営者である先生にとってのデメリット
一方のデメリットは手間とコストの増加です。
コスト増で一番影響が大きいのは社会保険料ではないかと思います。
令和3年3月時点で健康保険料は9.84%(介護除く)、厚生年金保険料は18.3%で、この半分を法人で負担することになります。
よって、個人診療所時代から職員の給料をスライドさせた場合、概ね給料が15%程度上乗せされるようなイメージとなります。
その他、手数料や顧問料など法人になると値上がりするものや、法務局への登記など、手間とコストが増加します。
社会的信用についてはどうでしょうか?
他業種の場合、個人事業主よりも法人の代表取締役の方が社会的信用は大きそうです。
ただ、医療業界の場合、個人か法人かで患者からの評価が変わるという話はあまり聞いたことがありません。
先生側も気にしない方が少なくないようで、例えば「〇〇クリニック」をそのまま残して「医療法人社団〇〇クリニック」とし、看板も変えないといったケースも存在します。
医師は個人事業主である前に「医師」としての社会的信用が十分すぎるほどに備わっていることが理由ではないでしょうか。
では、社会的信用の観点から全くメリットが無いのかというと、実は「職員目線」ではメリットが存在します。
それは、論点1ではデメリットとして紹介した「社会保険への強制加入」です。
経験上、社会保険加入をメリットとして捉える求職者は少なくないです。
個人事業主でも「任意適用事業者」として社会保険に加入することはできるのですが、ひと手間かかるうえ求職者側の認知度は今一つです。
安心して働き続けられる職場という観点では、医療法人には社会的信用があると言えるのではないでしょうか。
事業継続や事業拡大の観点からは医療法人化のメリットは大きいです。
そもそも、分院展開など他に施設を作るには医療法人化をする必要があります。
事業継続についても、例えばご子息にクリニックを譲る場合、役員変更の手続きをすれば良く、特段の課税関係も生ずることはありません。
(平成19年3月以前に設立した、いわゆる「持ち分あり医療法人」を除く。)
何故なら、医療法人にプールされているお金は、経営者である先生のものではなく「医療法人」という「別人」のものだからです。
よって、潤沢な資金を医療法人に残して代替わりをすることで相続や事業承継の観点からもメリットが得られます。
一方、デメリットも存在します。
上述の通り、医療法人にプールされているお金は「医療法人」に帰属しますので、例えば変なコンサルタントを信用して役員にした結果、多数決で医療法人の代表権を失う、といったリスクは存在します。
株式会社と異なり、理事長含めて役員は1人1票を有しますので、家族などで議決権をしっかりと固めて経営を行うことがリスクマネジメントとなります。
代表税理士 加藤 二郎(かとう じろう)です。お問い合わせをお待ちしております。
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